TS-BASE 通販
2023.09.02
近年のEC需要の高まりの背景とは?市場規模や動向を詳しく解説

目次
インターネットの普及に伴い、私達の生活に深く浸透したEC(Electronic Commerce:電子商取引)。衣類や日用品、食料品、家具家電など、さまざまなものがオンラインで取引されています。
ECの需要は近年拡大傾向を見せていますが、その背景にはどのような事情があるのでしょうか?この記事では、過去数年間のECの市場規模や業界の動向について詳しく解説します。
ECとは
ECとは「Electronic Commerce」という英語の頭文字を取った言葉で、日本語では「電子商取引」といいます。オンラインショッピングサイト(ECサイト)などを利用して、オンラインでものやサービスのやり取りを行うことです。
ECは取引を行う当事者の属性によって、次のように分類されます。
- BtoB-EC(Business to Business):企業間で行われるEC
- BtoC-EC(Business to Consumer):企業と消費者の間で行われるEC
- CtoC-EC(Consumer to Consumer):消費者と消費者の間で行われるEC
それぞれのECの詳細やECと通販の違いなどについては、こちらの記事で解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。
参考記事:ECと通販の違いとは?ECの種類・ECサイトとネット通販の違いも解説

近年のEC需要の変化
現在、日用品や食品などの身近なものから産業用の資材や大型機器まで、あらゆるものがオンラインで取引されています。
ここ数年間のEC需要の高まりは消費者の立場からも感じることができますが、近年のEC業界は具体的にどのような変化や成長を遂げているのでしょうか。
今回は経済産業省の「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」を元に、EC業界の動向を紹介します。
「巣ごもり需要」によるEC利用の増加
2020年から世界中で流行した新型コロナウイルス。日本でもその感染拡大への対応として緊急事態宣言が発出され、テレワーク(在宅勤務)や外出自粛が広がりました。
「巣ごもり需要」とは、不要不急の外出を控えるようになった人が、家で過ごす時間をより充実させるための消費行動に先立つニーズのことです。2020年のコロナ禍においては、特に生活に必要な食料品や日用品の他、フードデリバリー、映画やドラマのストリーミングサービスなどの利用が急拡大しました。
ワクチン接種などにより、2021年以降は外出自粛の動きは収まったものの、ECの市場規模は引き続き拡大傾向にあります。
マルチチャネル・オムニチャネル化
コロナウイルスの影響などにより、これまで実店舗を中心に行われていた消費活動がオンライン上でも活発に行われるようになりました。この消費活動の変化に対応するため、企業は商品の販売が主な目的であった実店舗の存在意義をあらためて考え直さざるを得なくなったのです。
マルチチャネルとは、集客の媒体や販売経路を複数持つことを指す言葉です。例えば、企業が実店舗での販売に加えて、ECサイトやSNS、訪問営業などさまざまな販売経路を持っている状態は、マルチチャネルに該当します。そして、オムニチャネルは、それぞれのチャネル(販売経路)を総合的に連携させた販売手法のことを指します。
マルチチャネル化、オムニチャネル化の促進により、以下のような新しい取り組みやサービスが生まれました。
- 実店舗を商品の試着や体験のみを提供し、販売はオンラインで行う「ショールーミング」
- オンラインで購入した商品を店舗で受け取る「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」
- インターネット上で商品の説明やアドバイスを行う「オンライン接客」
これらの取り組みは、コロナウイルスの影響による一時的なものではなく、今後も継続していくと見られています。
サブスクリプションサービスの増加
サブスクリプションサービスとは、商品やサービスを購入するのではなく、料金を支払うことで一定期間の利用を可能とするビジネスモデルです。ネットフリックスやAmazonプライムビデオなどの動画配信サービスが代表例ですが、最近では化粧品や家具・家電、ファッションなどにも広がっています。
サブスクリプションサービスの消費者にとってのメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 初期費用が抑えられる
- 利用したい期間だけ利用できる
- 定額で使い放題である
- 購入前に商品を試せる
- モノを所有する必要がないため、保管スペースがいらない
サブスクリプションサービスの普及は、BtoCのみではありません。BtoBにおいても、業務で利用するツールやシステムのサブスクリプションサービスは普及しつつあります。
スマートフォン経由での利用拡大
スマートフォン経由でECを利用する人も増えています。「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2021年のBtoC-ECの市場規模におけるスマートフォン比率は以下の通りです。
2021年の物販のBtoC-EC市場規模…(A) | 13兆2,865億円 |
うち、スマートフォン経由…(B) | 6兆9,421億円 |
スマートフォン比率(B)÷(A) | 52.2% |
※経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」図表4-14を元に作成
スマートフォン経由でのECは、外出先や移動中などのスキマ時間を使って買い物ができる点が最大のメリットです。さらに、スマホアプリなら購入した商品の発送状況やお気に入り登録したブランドやジャンルの新商品を通知してくれます。
スマートフォンによるECは今後も引き続き存在感を高めると見られ、企業はECサイトのスマホ対応などを行う必要に迫られています。
ECの市場規模
ECの市場規模は、ここ数年間でどのように遷移しているのでしょうか。前章に引き続き、経済産業省の「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」を元に2019年から2021年の市場規模を紹介します。
BtoB-ECの市場規模
BtoB-ECの2019年から2021年の市場規模の推移は以下の通りです。
2019年 | 2020年 | 2021年 | |
EC市場規模 | 352兆9,620億円 | 334兆9,106億円 | 372兆7,073億円 |
EC化率 | 31.7% | 33.5% | 35.6% |
※EC化率:すべての商取引において、EC(電子商取引)の市場規模が占める割合
コロナウイルスの影響により、2020年の市場規模は2019年から約5%減少した一方、EC化率は1.8ポイント増加しました。コロナウイルスの影響による取引減少から回復した2021年は、市場規模は2020年の11.3%増、EC化率は2.1ポイント増加しました。
なお、資料ではBtoB-ECの市場規模とEC化率を業種別にさらに詳しく紹介しています。それぞれの数値は業種によって異なり、2021年のEC化率は製造業の輸送用機械が74.3%と最も高く、建設・不動産業の14.3%が最も低い結果です。
BtoC-ECの市場規模
BtoC-ECの市場規模は、物販系、サービス系、デジタル系の3つの分野で集計されています。各分野総計の2019年から2021年の市場規模の推移は以下の通りです。
2019年 | 2020年 | 2021年 | |
BtoC-EC全体の市場規模 | 19兆3,609億円 | 19兆2,779億円 | 20兆6,950億円 |
物販系
物販系分野(食料、家電、化粧品、衣類、自動車など)の2019年から2021年のEC市場規模とEC化率は以下の通りです。
2019年 | 2020年 | 2021年 | |
EC市場規模 | 10兆515億円 | 12兆2,333億円 | 13兆2,865億円 |
EC化率 | 6.76% | 8.08% | 8.78% |
コロナ禍による巣ごもり消費の拡大により、2020年は前年から大きく規模を拡大する結果になりました。2021年はその流れは多少鈍化したものの、増加しています。
サービス系
サービス系分野(旅行、飲食、チケット販売、フードデリバリーなど)の2019年から2021年のEC市場規模は以下の通りです。
2019年 | 2020年 | 2021年 | |
EC市場規模 | 7兆1,672億円 | 4兆5,832億円 | 4兆6,424億円 |
サービス系分野は、コロナウイルスの影響を大きく受け、特に旅行サービス、飲食サービス、チケット販売の市場規模が大幅に下落しました。一方で、フードデリバリーはコロナウイルスの感染拡大をきっかけに広く普及し、2021年の市場規模は前年比37.48%増の4,794 億円と推定されています。
デジタル系
デジタル系分野(電子書籍、有料音楽・動画配信、オンラインゲームなど)の2019年から2021年のEC市場規模は以下の通りです。
2019年 | 2020年 | 2021年 | |
EC市場規模 | 2兆1,422億円 | 2兆4,614億円 | 2兆7,661億円 |
デジタル系分野のEC市場は年々順調に拡大しており、2021年は前年比12.38%増の2兆7,661億円となりました。なお、デジタル系分野のBtoC-ECで最も市場規模が大きいのはオンラインゲームで、2021年の市場規模は1兆6,127億円です。
CtoC-ECの市場規模
ネットオークションやフリマアプリなど、消費者と消費者の間で行われるCtoC-ECの2020年と2021年の市場規模は、以下の通りです。
2020年 | 2021年 | 伸び率 | |
EC市場規模 | 1 兆 9,586 億円 | 2兆2,121億円 | 12.9% |
CtoC-EC市場の成長に大きく貢献しているのが、フリマアプリの普及です。資料によると、フリマアプリが登場したのは2012年ですが、近年急速に利用が拡大しています。
なお、ここで紹介している数値は、統計情報や関連企業へのヒアリング等、各種情報リソースに基づいて推計されたものですが、実際には個人間の取引だけではなく、BtoB、BtoCの取引も含まれているとのことです。
今後のEC需要の変化に注目
EC需要は近年ますます高まりを見せていますが、市場規模の推移やEC化率はECの種類や業種によって異なります。企業がEC事業を行う際には、業界の特性や消費者ニーズの変化などを敏感に察知し、適宜対応する必要があるでしょう。
ECは消費者のみならず、企業にとってもメリットがある一方で、受発注管理や在庫管理の煩雑さに頭を悩ませる企業担当者も多いのではないでしょうか。
- EC事業を始めたい(行っている)が、ノウハウ不足が障壁になっている
- 社内のリソースだけでEC事業を回すのが困難
- EC事業の業務フローを効率化・最適化したい
このようなお悩みやご要望をお持ちの方は、ぜひ「TS-BASE 通販」を販売する竹田印刷にご相談ください。

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参考事例:ECサイト運営は「時代に沿った購買行動」に応えるために必要な選択肢
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