TS-BASE 物流
2024.07.25
物流拠点の集約とは?集約するメリット・デメリットを紹介
物流拠点の集約は効率化とコスト削減を図るための有力な戦略です。しかし、その一方でリスク分散や顧客対応の観点からデメリットも存在します。
本記事では、物流拠点を集約することのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
そもそも物流拠点(物流センター)とは何か知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
目次
物流拠点の集約とは?
物流拠点の集約とは、企業が複数の物流拠点を、戦略的に配置された少数の拠点に集中させることです。これにより、物流ネットワーク全体の効率化を図り、運営コストの削減、在庫管理の最適化、配送時間の短縮などを実現することを目的としています(後述)。
物流拠点の集約は、企業が市場の変化に対して迅速に対応し、競争力を高めるための戦略的な手段です。
物流拠点を集約するメリット
物流拠点を集約することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なものを挙げていきます。
コスト削減
複数の物流拠点を統合することで、賃貸料、光熱費、人件費などの運営コストを削減することができます。また一元化された拠点での効率的な運営により、全体的な費用負担の軽減が可能です。
さらに配送ルートの効率化により、輸送コストも削減できます。集約された拠点からの配送で総輸送距離が短縮されるため、燃料費や車両維持費の削減が期待できるでしょう。
在庫管理の効率化
複数の拠点に分散していた在庫を一元管理することで、在庫の重複や不足を防ぎ、適正在庫の維持が容易になります。これにより在庫回転率の向上が期待できるでしょう。
また在庫の集中管理により、倉庫スペースを有効に活用でき、余剰スペースの削減や効率的なレイアウトが可能になります。スペースの有効活用により、運営コストのさらなる削減が可能です。
オペレーションの効率化
拠点の集約により、業務プロセスの標準化が進み、業務効率が向上します。これにより作業ミスの減少や品質の向上が期待できます。
また集約された拠点から一元的に管理・対応することで、顧客からの問い合わせや注文変更などに迅速に対応でき、顧客満足度の向上が見込めます。
サービスレベルの向上
拠点の集約により、配送ルートが最適化されるため、配送時間の短縮が実現し、顧客満足度向上につながります。迅速な配送が顧客の信頼を獲得するための重要な要素です。
また一元管理により、リードタイムが短縮され、迅速な納品が可能になります。これにより顧客のニーズに迅速に応えることができ、競争力が向上するでしょう。
リスク管理の強化
拠点の集約により、リスク管理が一元化され、自然災害や不測の事態に対する迅速な対応が可能になります。
さらに集約された拠点でのセキュリティ対策が強化され、盗難や紛失のリスクが低減します。拠点が少ない分、高度なセキュリティシステムも導入できるため、セキュリティ体制も強化しやすいでしょう。
環境への配慮
複数の拠点を統合することでエネルギー効率が向上し、環境負荷の軽減に寄与します。また環境に配慮した物流運営が可能となれば、企業の持続可能な成長に貢献します。持続可能な物流戦略により、企業の社会的責任(CSR)を果たす取り組みを強化できるでしょう。
物流拠点を集約するデメリット
物流拠点の集約にはいくつかのデメリットも存在します。以下にそれぞれのデメリットについて説明します。
初期投資の増大
拠点を集約するための移設や統合には多額の初期投資が必要です。新しい拠点の建設や既存拠点の改修、設備の購入、移設に伴う費用などが発生します。
また集約した拠点での一元管理を実現するためには、新しいシステムやソフトウェアの導入が必要になるでしょう。そのための導入コストやシステムの設定、スタッフのトレーニングなどの費用・工数がかかります。
リスクの集中
拠点を一箇所に集約することで、自然災害や事故によるリスクが集中します。例えば、地震や洪水などが発生した場合、全ての業務が停止する可能性が考えられます。
災害以外にも、集約された拠点でのトラブルやシステム障害が発生した場合、全体の業務が停滞するリスクが高まります。これにより顧客へのサービス提供に影響が及ぶ可能性があるでしょう。
柔軟性の低下
複数拠点が存在する場合、需要の変動に対して柔軟に対応できますが、集約後は対応が難しくなることがあります。需要の急激な変動や地域ごとの特性に対する柔軟な対応が必要です。
さらに集約により配送ルートが限定されるため、特定地域への迅速な配送が難しくなる可能性があります。地域ごとの配送ニーズに対応するための柔軟なルート設定が必要です。
社員の負担増加
拠点の集約により、一部の社員にとって通勤時間が増加する場合があります。これにより社員の負担が増し、モチベーションや生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。
また集約された拠点では、業務負荷が一部の社員に集中することも。これにより過重労働や業務の効率低下が発生するリスクがあります。
地域経済への影響
拠点の集約により、従来存在していた複数の拠点での雇用が減少することがあります。これにより地域経済に影響を及ぼす可能性があります。
また地域に密着したサービス提供が難しくなるため、地域ごとのニーズに対応する柔軟性が低下する場合があります。
移行期間の業務混乱
拠点の集約には一定の移行期間が必要であり、この期間中に業務の停滞や混乱が発生する可能性があります。移行計画を綿密に策定し、スムーズな移行を図ることが求められるでしょう。
さらに新しいシステムや業務プロセスへの適応には社員のトレーニングが必要です。これにより一時的な業務効率の低下や追加のトレーニングコストが発生します。
物流拠点を集約する際の注意点
物流拠点を集約する際の注意点を以下にまとめました。
綿密な計画と準備
現在の物流ネットワークと業務フローを詳細に分析し、集約の目的や目標を明確に設定します。どのような効果を期待するのか、具体的な成果目標を定めることが重要です。
また移行期間中の業務混乱を最小限に抑えるために、業務の段階的な移行、トレーニングスケジュール、リスク管理など詳細な移行計画を策定しましょう。
適切な拠点選定
集約する拠点の立地条件を慎重に検討します。交通アクセスの良さ、顧客や仕入先へのアクセス、インフラの整備状況などを検討することが重要です。
あわせて集約する拠点が十分な規模と設備を備えているかを確認します。将来的な業務拡大にも対応できる余裕のあるスペースや設備が必要です。
コストとリスクの評価
拠点集約に伴う初期投資や運営コストを詳細に評価します。建設費用、設備導入費用、システム導入費用、人件費などを総合的に見積もりましょう。
また災害リスクやシステム障害リスクなど、リスク要因を洗い出し、適切なリスク管理策を講じます。拠点の冗長性やバックアッププランを整備することが重要です。
社員のケアとコミュニケーション
拠点の集約に際して社員の意見や懸念を収集し、計画に反映させます。社員の理解と協力を得ることが成功の鍵です。
また新しい業務フローやシステムに対応するためのトレーニングを実施し、移行期間中や初期運用期間には十分なサポート体制を整備します。
システムとテクノロジーの導入
適切なシステム選定: 業務の一元管理を実現するために適切な倉庫管理システム(WMS)や輸配送管理システム(TMS)を選定・導入します。機能や拡張性、サポート体制などを慎重に検討しましょう。
倉庫管理システム(WMS)についてはこちらの記事で解説しています。
また各拠点で管理していたデータを統合し、一元管理を実現します。データの正確性と整合性を確保するためのデータ移行計画を策定してください。
パートナーとの連携
サプライチェーン全体で協力関係にある企業や物流パートナーとの連携を強化します。情報共有や共同作業のためのコミュニケーションプラットフォームを整備しましょう。
あわせて拠点集約に伴う契約や合意事項を明確にし、法的なリスクを回避します。契約内容を詳細に確認し、必要に応じて見直しましょう。
パフォーマンスのモニタリング
拠点集約後の業務パフォーマンスを評価するためのKPI(重要業績評価指標)を設定し、物流コスト、納期遵守率、在庫回転率などの指標を定めます。
また拠点集約後も定期的に業務フローやシステムのパフォーマンスをレビューし、必要に応じて改善策を講じます。フィードバックを受け入れ、継続的な改善を行いましょう。
物流拠点は集約させた方がいいのか、分散させた方がいいのか
物流拠点を集約させるべきか、分散させるべきかは、企業の物流戦略や業務特性に依存します。どちらにもメリットとデメリットがあり一概にどちらが良いかを決めることは難しいところです。自社の物流戦略、顧客要求、コスト、リスク管理などの要素を総合的に考慮して決めましょう。
その際は本記事で紹介した物流拠点を集約するメリット・デメリットを参考にしてください。
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