使い方・知識
2026.09.11
サプライチェーンリスク対策とは?受発注業務に潜む3つの落とし穴
サプライチェーンリスクとは、取引先が原因で自社がセキュリティ被害や業務停止などの影響を受けるリスクを指します。取引先が原因で発生するリスク対策には受発注体制の見直しも欠かせません。
特にBtoB取引では、取引先がサイバー攻撃を受けると、その影響でメール受発注をしている自社が巻き込まれるケースや、PPAP*廃止の流れの中で自社のセキュリティ対応の遅れが取引継続や新規取引のハードルになったりするケースが増えています。本記事では受発注業務に潜む3つの落とし穴と、リスクの可視化から受発注のシステム化までの具体的な対策の進め方を解説します。
*パスワード付きzipファイルを送信後、パスワードを別メールで送信するセキュリティ対策のこと
目次
サプライチェーンリスクとは?受発注業務に潜む経営課題

サプライチェーンリスクとは、自社の取引先や委託先が原因となり、自社がセキュリティ被害や業務停止などの影響を受けるリスクを指します。取引先がサイバー攻撃を受けたり、災害で操業を停止したりすると、直接被害を受けていない会社も受発注業務の停止や情報漏えいなどの影響が及びます。
このリスクは大企業だけの課題ではありません。原材料や部品、販促物などを扱う企業も、取引先の一部としてサプライチェーンに組み込まれています。受発注業務は自社と取引先を直接つなぐ接点であり、注文データや取引情報といった経営に関わる情報が日常的に行き来する業務です。そのため、サプライチェーンリスク対策を考えるうえで、受発注業務の仕組みそのものを見直す視点は欠かせません。
また、サプライチェーンリスク対策には2つの方向があります。1つは、自社が取引先を経由した被害を受けることを防ぐ方向です。もう1つは、自社が取引先にとってのリスク要因にならないようにする方向です。発注する側としても、受注する側としても、双方向での備えが必要になります。
次の章では、受発注業務に潜む具体的な落とし穴を3つ紹介します。
受発注業務に潜むサプライチェーンリスクの3つの落とし穴
サプライチェーンリスク対策を受発注業務の観点から見ると、見落としやすい落とし穴が3つあります。発注する側・受注する側それぞれの視点から確認します。
落とし穴1|取引先の被害でメール受発注が巻き込まれるリスク
メールやエクセルでの受発注を続けている場合、取引先がサイバー攻撃を受けると、受発注業務を通じて自社も被害に巻き込まれる恐れがあります。例えば、取引先のメールアカウントが乗っ取られると、なりすましメールによる不正な注文や、メールに偽の請求書が添付されて届く可能性があります。
また、パスワード付きファイルをメールで送り、後から別メールでパスワードを送信する運用はPPAPと呼ばれますが、この方法はウイルス対策ソフトによる検査をすり抜けやすく、廃止を求める企業が増えています。発注元が受注する側にPPAPの廃止を求める動きも広がっており、メールに依存した受発注の仕組みは、取引先起点のリスクをそのまま引き受けやすい状態にあります。
落とし穴2|セキュリティ対応の遅れが新規取引のハードルになるリスク
サプライチェーンリスク対策は、自社が被害を受ける場面だけでなく、自社が取引先にとってのリスク要因にならないようにする場面でも重要です。特に受注する側の企業にとって、セキュリティ対応の遅れは深刻な影響を与えます。
発注元の企業が取引先のセキュリティ状況を確認している場合に、発注元が対応を不十分と判断すると、既存の取引の継続が難しくなったり、新規取引の商談が進まなくなったりする恐れがあります。メールやFAXでのやり取りを前提とした受注体制のままでは、発注元が求めるセキュリティ水準を満たせず、取引の選定条件から外れる可能性があります。
このように受注する側としても、サプライチェーンリスクへの対策は双方が安心して取引を行うための前提条件になりつつあります。
落とし穴3|担当者任せの受発注データのやり取りが招く誤送信・漏えいリスク
電話やFAX、メールでの受発注は、担当者の手作業に依存する部分が多く、宛先の間違いによる誤送信や、書類の紛失による情報漏えいが起こりやすくなります。担当者任せの運用は、担当者が不在の際に対応が滞る原因にもなり、ミスが発生しても発覚が遅れやすくなります。誤送信や紛失は、取引先の情報を漏えいさせる要因にもなり、サプライチェーンリスクの一部として捉える必要があります。
サプライチェーンリスクの主な種類と自社への影響

サプライチェーンリスクは、大きく物理的リスクとサイバーリスクの2種類に分けられます。
- 物理的リスク:自然災害や取引先の事情などにより、原材料や商品の供給が止まる状態
- サイバーリスク:取引先を経由した不正アクセスやウイルス感染などにより、自社のシステムやデータが被害を受ける状態
受発注業務の観点では、この2種類のリスクがどちらも影響します。物理的リスクが発生すると、代替の仕入先や販売先を探す間、受発注のやり取りが混乱しやすくなります。
さらに最悪の場合、自社の生産ラインにも影響が出ます。このように、サイバーリスクが発生すると、注文データや取引先の情報そのものが被害の対象になります。
以下に、それぞれの特徴と受発注業務への主な影響を整理します。
▼サプライチェーンリスクの種類と受発注業務への影響
リスクの種類 | 主な要因 | 受発注業務への影響 |
|---|---|---|
物理的リスク | 自然災害、取引先の経営悪化、原材料不足 | 仕入・出荷の遅延、代替対応による業務増加 |
サイバーリスク | 不正アクセス、ウイルス感染、なりすましメール | 注文データの漏えい、誤発注、取引停止 |
自社がどちらのリスクに弱いのかを把握することが、サプライチェーンリスク対策の出発点になります。
サプライチェーンリスク対策の基本的な進め方

サプライチェーンリスク対策は、闇雲に手を広げるのではなく、現状の把握から始めることが重要です。基本的な2つの進め方を紹介します。
ステップ1|サプライチェーンリスクを可視化し対策の優先順位をつける
サプライチェーンリスク対策の第一歩は、自社と取引先の受発注の流れを可視化することです。
まず、どの取引先とどのような手段で注文データをやり取りしているかを洗い出すことで、メールやFAXなど担当者任せの運用が残っている箇所が見えてきます。次に、洗い出した箇所ごとに発生しやすいリスクと影響の大きさを整理し、優先順位をつけるとよいでしょう。
なぜなら、取引先の業種・規模、取り扱う情報の重要度によって、必要な対策のレベルは異なるからです。すべての取引先に一律の対策を求めるのではなく、リスクの高い取引先から順に見直すと、限られた人員や予算でも効果的に対策を進められます。可視化と評価を定期的に繰り返すと、取引先の変化にも対応しやすくなるでしょう。
ステップ2|受発注フローの標準化・システム化でサプライチェーンリスクを抑える
可視化と評価を終えたら、担当者任せの受発注フローを標準化しましょう。メールやFAX、電話でのやり取りが残っている業務は、受発注システムに置き換えると、誤送信や転記ミスの発生を抑えられます。注文専用のサイトを介した受発注業務に切り替えると、パスワード付きファイルの送付といったPPAPの運用も不要になり、取引先ごとに異なる連絡手段を管理する負担も軽減できます。
受発注システムには、注文履歴や出荷状況を一元管理する機能や、承認フローを組み込む機能を備えたものもあります。データを一元管理すると、担当者が不在でも状況を確認しやすくなり、対応の属人化を防げます。発注する側としても、仕入先への発注書作成・送信をシステム上で行うと、手作業による入力ミスを減らせます。受発注フローの標準化は、サプライチェーンリスク対策であると同時に、日常業務の効率化にもつながります。
受発注のシステム化で一歩進むサプライチェーンリスク対策
ここまで紹介してきた、「受発注業務に潜む3つの落とし穴」に照らして自社と取引先とのやり取りを洗い出すことで、次のことが可能になります。
- 受発注のどの工程にサプライチェーンリスクが潜んでいるかを、取引先ごとに判断できる
- 発注する側・受注する側のどちらであっても、自社に必要なサプライチェーンリスク対策の優先順位を見極められる
- 担当者任せのやり取りをどこから見直すべきか、次の一歩を具体的に描ける
リスクの洗い出しが完了したら、重要度の高い部分から受発注システムの導入を検討してはいかがでしょうか。
私たちTS-BASE 受発注は、電話・メール・FAXに頼らない受発注体制の構築を支援しており、サプライチェーンリスク対策の一環としても活用できます。
詳しくは下記からご覧ください。

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