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2023.05.24

物流とは?流通や配送との違い・機能・課題や今後について解説

物流とは?流通や配送との違い・機能・課題や今後について解説

目次

物流は経済の要。近年は、EC市場の拡大でオンラインショッピングの利用者も増えたことで、物流の重要性はさらに高まっています。

一方で、改めて「物流とは何か?」と聞かれると説明に困るかもしれません。

そこで本記事では、物流の意味や物流を構成する機能・領域といった物流の基本をわかりやすく解説。物流業界が抱える課題や今後の動向についても解説します。
物流企業で働く新入社員や物流の基礎が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

物流とは?

物流とは、生産者から消費者へモノが届けられる際の「モノの流れ」を指す言葉です。

生産者と消費者の間には「時間」と「空間」のギャップが存在します。
必要なときに必要なモノを必要な場所に送りたい。この時間と空間のギャップを埋めるのが、物流の基本的な役割です。

近年では、EC市場の拡大に伴い物流の需要性はさらに高まっており、物流業界全体でテクノロジーを活用した物流の効率化が求められています。

あわせて、物流と下記類似用語との違いについても解説します。

  • 商流
  • 配送
  • 流通
  • ロジスティクス

「商流」の意味

商流とは、お金や取引情報の流れを指す言葉です。

例えば、家電製品はメーカー・卸売業者・家電販売店・消費者という流れで移動します。
この時に発生する、家電製品の所有権の移動と、それに伴うお金と取引情報の流れが商流です。

「流通」の意味

流通とは、物流・商流を合わせたモノ・サービスの流れの総称を指す言葉。

商品が生産者から消費者へ商品が届くまでの間には、モノ・人員・情報・金銭など、さまざまな要素が密接に絡み合って成り立っています。

ここからわかるように、経済活動を行う上で、流通は不可欠な存在なのです。

「配送」の意味

配送とは、商品を出荷元から消費者へ届ける行為を指す言葉で、物流の一要素です。

近年では、オンラインショッピングによる配送の需要が増えた影響もあり、近距離の小口輸送を配送とみなす場合も。
ちなみに配送と似た用語として、「運送」は乗用車やトラックで商品を運ぶことを指します。

「ロジスティクス」の意味

ロジスティクス(Logistics)とは、戦場において前線に物資や兵士を供給する基地やその運営を表す軍事用語で、日本語では「兵站(へいたん)」ともいいます。

この考え方をビジネスに落とし込んだのが、今日使われている「ロジスティクス」です。

物流業界におけるロジスティクスとは、簡単にいえば「モノの流れを高度化し一元管理すること」で、物流に戦略的な意味を含めた用語。

ロジスティクスには、商品を迅速かつ効率的に届け顧客満足度を高めること、引いては企業活動全体の最適化を達成するための戦略という意味を含みます。

物流を構成する6つの機能

物流は「輸送」「保管」「荷役」「梱包・包装」「流通加工」「情報システム」の6つの機能で構成されています。

そして、これらの機能はトレードオフの関係にあり、ある機能を効率化すると別の機能の効率が落ちる関係にあるのです。

ここでは、物流を構成する6つの機能の中身を解説します。

輸送

輸送とは、物流における拠点間の移動のこと。状況に応じて「運送」や「配送」と呼ばれることもあります。物流と聞いてもっともイメージしやすい機能でしょう。

輸送手段としては、トラック・船舶(貨物船・フェリーなど)・鉄道・航空機が代表的。

近年は、ドローンによる小口輸送の効率化や自動運転による輸送無人化なども注目されています。

保管

保管とは、物流における生産と販売の間にある機能。商品を必要な量・必要なタイミングでスムーズに供給するための緩衝材として機能します。

保管場所は取り扱う商品によってさまざまで、物流倉庫・物流センター・工場・店舗などです。

また商品の中には、温度や湿度によって劣化するものもあるので、保管においては適切な品質管理が求められます。

荷役

荷役(にやく)とは、荷物の移動に伴い発生する作業の総称。具体的には、以下の通りです。

  • 積み卸し:輸送機器への荷物の積込み・取り出しの作業
  • 運搬:荷物を倉庫や工場などの施設内外へ移動させる作業
  • 積付け:パレットや輸送機器の荷台に荷物を配置する作業
  • ピッキング:保管場所から商品を取り出す作業
  • 仕分け:出荷する荷物を品種や出荷方面などに分ける作業
  • 荷揃え:荷物を揃えて積込みを効率化させる作業

荷役では、作業の効率化のため、フォークリフト・自動搬送ロボット・ベルトコンベアなどの荷役機器(マテハン機器)が活躍します。

梱包・包装

梱包・包装とは、包装品を用いて商品に包装加工を施す作業のこと。

おもな目的は、商品の保護だけでなく、輸送・保管・荷役時の利便性の向上、消費者の購買意欲の向上などもあります。

また、梱包・包装には3つの種類があります。

  • 個装:商品個別に対して施す包装
  • 内装:個装をいくつかにまとめてパッケージ化した状態
  • 外装:物流作業単位の包装、内装したものをダンボールに詰めた状態

流通加工

流通加工とは、その商品に付加価値を付けるために行う加工全般のこと。

具体的な作業は、部品の組み立て、値札やラベルの添付、セット販売用のパッケージングのほか、検品作業も流通加工の一部です。

流通加工は元々、販売する店舗ごとに行うのが一般的でした。しかし現在では、物流倉庫や物流センターが担うケースも増えています。

ちなみに物流倉庫とは、荷物の保管を目的とする施設、物流センターは保管・梱包・流通加工などの複数機能を備えた物流拠点のことです。

情報システム

物流における情報システムとは、物流に必要なデータを管理するシステムのこと。

物流情報システムは、コスト削減・時間短縮・品質向上などを目的として導入されます。

具体的には、物流倉庫の入出荷管理・在庫管理・業務管理を担うWMS(倉庫管理システム)、輸送機器の動きを管理するTMS(輸配送管理システム)などがあります。

物流の6つの領域

ここでは、物流の6つの領域について紹介します。

  • 調達物流
  • 生産物流
  • 社内物流
  • 販売物流
  • 返品物流
  • 廃棄物流

調達物流

調達物流とは、原材料や部品を仕入先から自社工場まで運ぶための物流のことです。調達物流を適正に管理することで、後の製造スケジュールや在庫数のバランスを保てます。

海外に取引先を持つ企業や海外拠点を持つ大企業などは、国をまたいだ最適な物流ルートの確立、海外の法律・規制に則った調達物流を考慮しなければなりません。

生産物流

生産物流とは、商品の製造工程で発生する物流のことです。具体的には、製造工場内で発生する保管・荷役・梱包などを指します。

生産物流を適正に管理することで、生産ラインの効率化・不良品の削減・品質管理の向上などにつながります。

社内物流

社内物流とは、本部〜店舗間での備品・帳票・販促物などのやり取りで発生する物流のこと。また場内工場から場外工場など、工場間・社内間で発生する物流も該当します。

販売物流

販売物流とは、完成した商品を物流センターや小売店を介して消費者に運ぶ際の物流のこと。

消費者と最も接点のある物流であり、顧客満足度や企業イメージに関わる重要な役割を担います。

返品物流

返品物流とは、一度納入または購入された商品が、消費者や販売店からメーカーに返品される際に発生する物流のことです。

これは、血液が全身の臓器を伝ってやがて心臓に戻っていく静脈の働きに似ています。

これになぞらえて、返品・回収・リサイクルで発生する物流のことを、まとめて「静脈物流」と呼ぶこともあります。

廃棄物流

廃棄物流とは、不良品や産業廃棄物の処理など、商品の廃棄に伴い発生する物流のこと。廃棄物流も静脈物流の1つです。

廃棄物流を適正に管理することで、廃棄物の適切な処理によるコスト削減、SDGs対策による企業イメージの向上などにつながります。

物流業界の課題と今後

物流業界は社会のインフラ的存在であり、交通の整備やインターネットの普及が浸透した現在、さらに存在感を高めています。

飛躍的に成長していく一方で、課題も多く変革が必要な業界ともいえるでしょう。

そこで本項目では、物流業界が抱える課題と今後の動向について解説します。

  • 2024年問題とは?
  • ドライバーの人手不足と高齢化
  • 物流業務の効率化
  • 働きやすい労働環境の構築

2024年問題とは?

まず物流業界の課題と今後を語る上で外せないのが「2024年問題」です。

2024年問題とは、2024年4月1日に施行される「働き方改革関連法の改正」に伴い、物流業界で起こりうる問題のこと。

具体的には、労働基準法の改正(36条)に伴い、自動車運転業務の特別条項付き36協定を締結する場合の年間時間外労働の上限が「年960時間」に変更されます。

これにより、長時間労働の常態化が顕著だったトラックドライバーの労働環境の改善につながると期待されています。

その一方で、1日に運べる貨物量が減少し物流企業の売上も減少する、トラックドライバーの収入減少とそれに伴う担い手不足などの懸念が問題化しました。

このように、物流業界が抱える課題と今後の動向を考える上で、「2024年問題」は日本の物流企業にとって重要な問題といえるでしょう。

2024年問題については、こちらでも詳しく説明しています。
2024年問題とは?物流・運送業界に及ぼす影響や解消するための方法


2024年問題とは?物流・運送業界に及ぼす影響や解消するための方法

働き方改革関連法で、2024年4月1日以降の自動車運転業務について「年間時間外労働時間の上限が960時間」と制限されることが決定されています。この法律は物流・運送業界に及ぼす影響は大きく、「2024年問題」と呼ばれています。本記事では、2024年問題とはどのようなものか、概要を解説します。

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ドライバーの人手不足と高齢化

全日本トラック協会の『日本のトラック輸送産業 現状と課題 2022』によると、トンベース(貨物の輸送量)での輸送分担率は、トラックが全体の約9割を占めています。

またトンキロベース(トン数に輸送距離を乗じてその仕事量を表した単位)では、トラックが5割、海運が4割とのこと。

つまり、短距離輸送においてはトラックがほぼ市場を独占し、長距離輸送においてはトラックと船舶が主役ということがわかります。

しかし、少子高齢化による労働人口の減少や厳しい労働環境、前述した2024年問題の発生なども相まって、ドライバーの人手不足と高齢化が深刻化。

これにより近い将来、物流の重要な機能である輸送が滞ってしまう恐れがあるのです。

物流業務の効率化

2024年問題やドライバー不足への対策の1つは、「物流業務の効率化」です。

大手の物流企業では、AIやロボットの導入により業務効率化が進む一方で、多くの中小物流では効率化はまだまだ浸透していない状況。
物流業務の効率化で重要なのは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の導入です。DXとは、簡単にいうとデジタル化・機械化による業務改善のこと。

DXの具体例としては、RPA・ピッキングロボット・自動運転・ビッグデータ活用などがあります。

働きやすい労働環境の構築

物流業界のこれからを考える上では、物流企業で働く社員に対して働きやすい労働環境を提供することも重要です。

特にトラックドライバーに対しては、運賃の適正価格の見直し、常態化する長時間労働の改善、長期雇用を促す福利厚生などが求められるでしょう。

働きやすい労働環境の構築が、引いては売上の向上・コスト削減・企業イメージの向上などを実現し、持続可能な経済活動にもつながるといえます。

物流の基本を理解しよう

物流の意味や物流を構成する機能・領域といった物流の基本から、物流業界が抱える課題や今後の動向について解説しました。

物流は経済における血液であり、物流が滞ると経済全体が滞ってしまいます。
生産者から消費者へ、必要なときに必要なモノを必要な場所に届ける上で物流は不可欠な存在。

紹介した内容を参考に、物流の基本を理解しましょう。

TS-BASE 物流なら物流業務の受託が可能

弊社が運営するTS-BASE 物流は、流通加工を含めた物流業務の受託が可能です。自社開発のWMS(倉庫管理システム)もあり、お預かりする際にシステムに登録しますので取扱いしているモノの現在の在庫数等をリアルタイムでご確認いただけます。

また、TS-BASE 受発注は受注から出荷まで一元管理できる倉庫管理システム+WMS(倉庫管理システム)です。実際に物流拠点を持つTS-BASE 物流だから可能な現場目線のシステムです。

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